一方、民主党は四月末、都内で一般応募者ら八百人を集めた政見放送用ビデオを撮影した。同党がターゲットとする都市住民の生活風景を描きながら、集まった人々が投げた赤いマークがシンボルマークになるとともに、「奪る。」の文字が映し出される。しかし、そのシンボルマーク作成にかかわったコピーライターの岩永嘉弘氏は「(このビデオ)では『民主党が何をしたいのか』という中身が分からない」と厳しい。イメージ先行というわけだ。岩永氏は「広告で言えば、政党はメーカーで、主義主張は商品だが、ソ連の崩壊で主義主張の東西対立がなくなったため、有権者はどのビールが飲みたいのかわからないまま、選挙当日を迎える。具体的な政策ビジョンがにじみ出た広告でないと人々は説得されない」と指摘する。
各党の広告戦略も、イメージ優先からの脱皮が求められている。

(読売新聞 2000/6/4(日)より抜粋)