しかし、社名・商品名、いずれの場合も共通するのは、コンセプトをじっくり煮詰めること。当たり前のようだが、ネーミングばかりにこだわると、この基本がおろそかにされやすい。社名ならば、その会社がどういうかいしゃなのか。どういう理念を持ち、どういう目標を持っているのか。商品ならば、どういう特性を持ち、何が売りなのか。『ネーミングが広告だ。』(宣伝会議)などの著書を持つ岩永嘉弘氏は「情報過多の中で生き抜くには、基本が大切。インターネットで情報がはんらんする時代には、より名前がつけられたものの内容を的確に表すネーミングが求められてくるはず」と言う。
 例えば、サントリーの飲料水「なっちゃん」のようなネーミングは印象的だが、商品の特徴がつかみにくい。「広告力のある企業だからできるやり方で、万人が目指すべきネーミングではない」(岩永氏)「いいネーミングを絞り出すには、社名にしろ商品名にしろ、五〇、一〇〇、と特徴を表す言葉を書き出してみる。その中から五つぐらいに絞って更にアイデアを煮詰めていく」。これらの言葉を掛け合わせたり、当て字をしたり、他の言語に変換してみるなど、実際のネーミング作業では様々なテクニックを駆使するわけだがコンセプトさえしっかりしていれば、小手先のネーミングに終わらないはずだとアドバイスする。
 最終的なネーミングは、誰にでも読めてわかりやすいことが基本だが、こうした判断は意外に難しい。「例えば、候補を三つぐらいあげて、身近なひとに教えてみる。紙には書かせないようにして、次の日まで正確に覚えられていた名前を選択するというのも、ひとつの方法」(岩永氏)

(起業ナビ.VOL2「ビギナーのためのネーミング講座」より抜粋)